最高裁昭和55年1月11日罷免無効確認、損害賠償、不動産等引渡請求事件をわかりやすく解説

民事訴訟法

罷免無効確認、損害賠償、不動産等引渡請求事件

上告人は、ある企業から被上告人に対して存在する売掛金債権を譲り受けたと主張し、その金額及び遅延損害金の支払いを求めていましたがこの債権は他の二社にも譲渡されており、さらに社会保険料の未納による差押えも入っていました。これら全ての通知が被上告人に同じ日に到達しましたケースとなります。判決は、複雑な債権譲渡のケースにおいて、どのように法的優先順位が決定されるか、そして複数の譲受人が存在する場合の第三債務者の責任についての重要な指針を示しています。

最高裁判所は、売掛金債権の譲渡を巡る訴訟で、上告人の請求を認め、原判決を覆しました。上告人は、譲渡された123万0281円の売掛金及び遅延損害金の支払いを被上告人から受けることになり、訴訟費用も被上告人が負担することとされました。この判決は、複数の譲受人がいる債権の扱いに関して法的な指針を示しています。

事件の背景

  • 上告人(原告)は、訴外の第三者(訴外D)から一定の売掛金債権(123万0281円)を譲り受けたと主張し、この金額及び遅延損害金の支払いを被上告人(被告)に対して求めています。
  • この債権は、訴外Dが被上告人に対して持っていたもので、訴外Dはこの債権を上告人に譲渡しました。譲渡の通知は内容証明郵便で被上告人に送られ、到達しました。

判決の理由

  • 最高裁判所は、原審(下級審)の判断を正当と認めつつも、債権譲渡と債権差押えの到達時間に関する考慮が不十分であったと判断しました。
  • 特に、指名債権が二重に譲渡された場合、確定日付のある譲渡通知が第三債務者に同時に到達した際の法的扱いについて言及しています。すなわち、複数の譲受人が存在しても、第三債務者は単にその存在を理由に弁済を拒めないとしています。
  • また、債権の譲渡通知と債権差押え通知が同時に到達した場合には、譲受人は無条件の勝訴判決を得ることができると述べ、差押えがある場合の執行手続きについても触れています。

判決の結果

  • 原判決を破棄し、第一審判決を取り消します。
  • 被上告人は、上告人に対して123万0281円及びこれに対する昭和49年7月16日からの遅延損害金を支払うよう命じられました。
  • 訴訟費用は被上告人の負担とされました。

法的意義

この判決は、債権譲渡の法的効果、特に複数の譲渡通知が同時に到達した場合の優劣関係と、債権差押えの効果に関する重要な指針を提供しています。また、訴訟における証拠の取り扱いと、法律解釈における最高裁判所の役割を示しています。

 

引用・参考元:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/317/053317_hanrei.pdf